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越冬地での生態について
越冬するオオカバマダラの画像
海野和男氏撮影

  越冬地のある山は、いずれもモミを中心とする木でおおわれていて、近くにかならずわき水があります。湿度とわき水はチョウにとってとても重要です。気温が低いとオオカバマダラは何日も動くことができません。湿度はこんな時、このチョウを乾燥から守ってくれます。そしてわき水のある場所では、暖かい日はいつもチョウが集団で水を飲んでいます。
 夜は0度近くに下がって薄氷もはります。けれどよく晴れた日の日中は20度近くまで気温が上がります。晴れた日は朝10時ごろから急にチョウが飛ぶようになります。温度計の目盛りは10度を少し上回るくらいです。チョウは太陽の熱をより多く吸収しようと翅を開いて日光浴をします。オオカバマダラの翅の表は鮮やかなオレンジ色なので、日の当たっている木は木全体がオレンジ色になります。下草の上や石の上でも翅を開いて日光浴をしているチョウがたくさんいます。林に入ると、チョウの飛ぶさわさわという音がまるで風邪の音のように聞こえます。
 花という花にはチョウが群れています。けれど花の量はたくさんのオオカバマダラをやしなうほど多くはありません。北アメリカからの旅の途中で十分栄養をとってきたチョウは、冬の間はほとんど水だけで過ごすようです。石灰岩の山からわき出る水にミネラルが豊富なのも、生命を維持するのに重要な役割を果たしているかもしれません。メキシコの越冬地が発見されてから30年近くになります。研究や保護も熱心に行われ、保護のため立入禁止の場所もありますが、そのうちの一か所は公開されていて、観光客も訪れることができます。
(海野和男氏による)


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