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台風からふるさとを探る、1982年台風11号が運んできたリュウキュウムラサキ
 下の観察記録表は、1982年7〜8月の長期滞在で伊丹市立伊丹高等学校の池田比呂志氏が行った沖縄県におけるリュウキュウムラサキの調査結果です。
 これによると、前半の22日間で3匹の台湾型しか確認されていなかったリュウキュウムラサキが台風11号の通過により大幅に増えたことがわかります。この台風型は沖縄にもっとも近い場所に生息し、春からの季節風(南からの風)で運ばれたものか、その子どもと考えられます。
 観察記録から台風11号で運ばれたリュウキュウムラサキの「ふるさと」を考えてみましょう。

天気図はクリックすると拡大します。
8月7日の観察から
台風11号の接近により石垣島オモト岳でそれまで発見されなかった大陸型1匹とその他の迷チョウが確認されています。大陸型の生息地は石垣島よりかなり離れており台風に巻き込まれるように風に乗って、中国大陸方面から運ばれてきたと考えられています。
8月7日の観察図
8月9日、10日
台風上陸のため観察不可能
8月9日、10日の観察図
8月12日、13日の観察から
 台風通過後の12日、大陸型1匹と台湾型1匹しか確認されなかったが、13日は一転して40匹のリュウキュウムラサキが確認されました。このうち3割が大陸型、7割は台湾型であり、台風の下側(南側)の風により大陸型は中国大陸方面より、また台湾型は台風の北上とともに台湾から数多く運ばれたと考えられます。
8月12日、13日の観察図
8月14日〜30日の観察
 14日になると、前日の状況が再び一転します。同じ観察場所で14日〜18日の5日間に6匹のリュウキュウムラサキしか確認できなくなったのです。
 しかし、8月下旬にはいると、次第にどの島でもリュウキュウムラサキが好む明るく開けた(オープンランド)活動場所で見られるようになります。
 このような観察から、運ばれてきたリュウキュウムラサキは上陸後、次第に自分たちの好適な生活場所に移動し、くらし始めたのだと考えられます。
8月14日〜30日の観察図


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